新しいヌード写真について考えていた。セックスを想像して下さい、的な偽セクシーポーズばかりの写真にうんざりしていた。本当の女の味を写真で見せるには、その頃の僕は若すぎた。はっきりいえば、女の魅力を写真で表現するほど女を知らなかった。しかし、女の中味は知らなくても、見たこともない女を見たくて仕方なかった。あり得ない状況での女の表情、無理な環境での女の姿態。写真は目の前の出来事しか写らないのだから、目の前の現実を変えてしまおうと思った。いつも体験している日常とは違う世界は何だろうと考えているうちに、重力を狂わせたら不思議な世界が展開するに違いないと思った。そして、水中で女の裸を見るアイデアを思い付いた。人体は浮力があるから、水中で静止しろといっても、必ず浮き上がってしまう。それに、息が苦しくて、それ程長い時間は水中に留まれない。過酷な状況に放り込まれた人は予期せぬ行動をとる。写真に登場するのは裸の女性一人でなく、複数の人物にしよう。その方がドラマティックだ。架空の一場面を僕が考えて、それを彼らに演じてもらう。演じるといっても水中なので、必ず演技より事実が優先してしまう。見えたままを写真に撮ろう。必死になった瞬間の女は、案外セクシーかもしれない。自転車に乗った女と三人の男を水中に沈めよう。(『感性のバケモノになりたい』より一部抜粋)

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