偶然のきっかけから写真を志すようになった二十歳頃のこと、僕は藤崎の姿を写真に残しておこうと思った。50ccのランペットをチョッパーに改造して、当時夢の島といわれた東京湾の埋立地へ行った。長い直線道路を走り、そして火を点ける。カメラのファインダーの中で叫んでいる藤崎の声は、僕の叫びでもあったし、めちゃくちゃな笑顔は、僕自身の興奮の証でもあった。藤崎を撮ることによって僕自身を見つめている気がした。十代で藤崎と出会わなかったら、僕は写真家になっていなかったかもしれない。少なくとも、今とは違う写真を撮っていただろう。(『感性のバケモノになりたい』より一部抜粋)

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